飯田グループ5社と「イモトのWi-Fi」のエクスコムグローバルのNo.1表示に消費者庁が景表法違反に基づく措置命令。調査会社からNo.1表示の根拠となるデータを提供された際にその内容をチェックする必要性。

こんにちは。弁護士の浅見隆行です。

2024年3月1日、消費者庁は、

  • 飯田グループホールディングス(飯田GHD)、住宅情報館、飯田産業などグループ合計5社がしていたNo.1表示
  • モバイルルーター「イモトのWi-Fi」を供給するエクスコムグローバルがしていたNo.1表示

に、景表法違反に基づく措置命令をそれぞれ発しました。

https://www.caa.go.jp/notice/entry/036536/ (写真は別紙1からの引用)

https://www.caa.go.jp/notice/entry/036514/ (写真は別紙5からの引用)

広告にNo.1表示を使用する際に注意すべきポイントは以前に投稿しましたので、そちらを参考にしてください。

今回取り上げるのは、No.1表示の根拠を収集するために調査会社を使用した際に、調査会社から提供された調査結果の内容をチェックする必要性について、です。

No.1表示の根拠を収集する調査会社

措置命令を受けた各社の調査会社は同じ

今回措置命令を受けた飯田GHD、また以前に取り上げたバンザン、バウムクーヘンのNo.1表示に共通しているのは、いずれも調査会社がNEXER(日本トレンドリサーチ)であるということです。

他方で、エクスコムグローバルの「イモトのWi-Fi」の調査会社は、ゼネラルリサーチです。

※2024/03/05追記

消費者庁は2024年2月29日にフロンティアジャパンのNo.1表示にも措置命令を発しました。このNo.1表示の調査会社もNEXER(日本トレンドリサーチ)でした。

調査会社を選ぶ際の注意点

NEXER(日本トレンドリサーチ)は、2022年5月からNo.1調査サービスの新規受注を停止しており、2024年1月31日をもってNo.1調査サービスの提供を終了することを明らかにした、と報じられています。

ここからわかるのは、No.1表示の根拠を収集するために調査会社に委託する際には、その調査会社の調査結果を利用して他社がしたNo.1表示が、過去に消費者庁から景表法違反と判断されていないかを調べる必要があるということです。

1回限りなら調査のミスということも考えられます。

しかし、複数回景表法違反と判断されている場合には、その調査会社の調査方法や調査結果の信用性に問題があると考えた方がよいかもしれません。

そもそもNo.1表示をする意味があるか?

もちろん、そもそも広告ではNo.1表示をしない、という選択肢もあるかもしれません。

公正取引委員会が2008年6月13日付けで公表した「No.1表示実態調査報告書」によると、「初めて購入する商品・サービス又は頻繁には購入しない商品・サービスであり,その商品・サービスについての知識があまりない場合」にはNo.1表示が参考にされるようです。

No.1表示には、それなりに顧客誘引力があるようです。

とはいえ、景表法違反に基づく措置命令、課徴金納付命令が出た場合には、会社が被るレピュテーションダメージ、経済的ダメージは大きいので、No.1表示をする場合には慎重になった方が良いでしょう。

調査会社から提供された調査結果の内容をチェックする

No.1表示が景表法違反と判断されるケース

No.1表示が景表法違反と判断されるのは、

  1. 調査方法が客観性を欠く場合
    • 調査方法が学術界・産業界において一般的に認められた方法または関連分野の専門家多数が認める方法ではない
    • 調査方法が社会通念上及び経験則上妥当と認められる方法で実施されていない
  2. 調査結果が正確かつ適正に引用されていない場合
    • 何がNo.1なのか、対象となる商品やサービスの範囲が不明確である場合(商品等の範囲)
    • どこでNo.1なのか、地理的範囲が不明確である場合(商品等の地理的範囲)
    • いつNo.1だったのか、調査期間や時点が不明確である場合(調査期間・時点)
    • No.1の表示の根拠が記されていない場合(根拠となる調査の出典)

です。

詳しくは、以前の記事で詳細に説明しています。

調査会社から提供された調査結果の何をチェックするか

上記の2ケースが景表法違反と判断されるのですから、調査会社からNo.1表示の根拠として調査結果を提供された際には、

  • どのような方法で調査したのか
  • 調査方法が一般的な方法、専門家が認める方法、社会通念上妥当な方法なのか
  • 調査結果の対象商品・サービスや地理的範囲の搾り方(No.1になるために恣意的に限定していないか)
  • どれくらいの期間調査したのか
  • どのようなデータに基づいてNo.1と判断したのか

などを調査会社に説明を求めるなどして、調査結果の信用性をチェックする必要性があります。

最近ならネットを利用したアンケート調査がよく利用されています。

例えば、政治的判断に関する賛否や芸能人の言動への賛否をしているアンケートなどをSNSで行っているケースが典型です。

しかし、SNSを利用したアンケートは、フォロワーに偏りがある影響を受けアンケートの結果にも偏りがありがちです。その調査結果は到底信用できず、鵜呑みにはできません。

広告の場合も同じです。

調査方法について説明を求めても回答してもらえない場合や、恣意的な調査をしていることが明らかになった場合には、その調査会社の調査結果ではNo.1表示にしないほうがリスクヘッジになるでしょう。

アサミ経営法律事務所 代表弁護士。 1975年東京生まれ。早稲田実業、早稲田大学卒業後、2000年弁護士登録。 企業危機管理、危機管理広報、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、情報セキュリティを中心に企業法務に取り組む。 著書に「危機管理広報の基本と実践」「判例法理・取締役の監視義務」「判例法理・株主総会決議取消訴訟」。 現在、月刊広報会議に「リスク広報最前線」、日経ヒューマンキャピタルオンラインに「第三者調査報告書から読み解くコンプライアンス この会社はどこで誤ったのか」、日経ビジネスに「この会社はどこで誤ったのか」を連載中。
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