主な取扱業務

平時と有事は地続きである

アサミ経営法律事務所の仕事は、企業の危機管理を、有事だけの問題として捉えず、平時と有事を行き来する一つの循環の中で考えることを核にしています。

不祥事は、ある日突然降ってくるものではありません。

立派なマニュアルが整っているのに、現場では空気を読んで誰もそれを口にしない。役員会では発言が予定調和に流れ、まずい話が経営陣に届く前に途中の階層で消えていく。日常の中に静かに積もっていったものが、ある瞬間に表面化したものが、いわゆる不祥事です。

逆もまた成り立ちます。一度起きてしまった不祥事も、適切な調査と再発防止策、平時の体制整備の中に位置付け直すことができれば、組織にとっての学びへと転換できます。

危機への対応」と「平時の予防」は別々の仕事ではなく、一続きの仕事です。

企業の危機管理のサイクル

危機管理という仕事を時系列で並べると、平時の体制整備があり、その内側で従業員への研修や階層別のコンプライアンス教育、役員へのガバナンス教育が積み重ねられます。

それでも何かが起きてしまったとき、危機発生直後の初動方針を経営陣と一緒に決め、危機管理広報の言葉を組み立てます。

事態が落ち着いた後には、第三者委員会による調査が入り、報告書を踏まえて再発防止策が議論され、再び平時の体制整備へと戻っていきます。

この流れは、一つの企業の中で何度も繰り返される循環です。

点として個別の局面を捉えるのではなく、線として一つの流れの中に位置付けることで、初めて全体の意味が見えてきます

平時と有事を行き来する一つの循環
平時の体制整備 機関設計・内部統制・情報経路 教育・研修 階層別コンプライアンス 役員ガバナンス教育 疑義の発生 内部通報・取引先からの告発 内部調査の組み立て 表面化・初動対応 危機管理広報・関係当局対応 第三者委員会調査 本体は他事務所 セカンドオピニオンで関与 再発防止策 設計と実装 研修の再実施 アサミ経営法律事務所 第三者委員会本体を除く サイクルの全領域に伴走
当事務所が担う領域 他事務所が担当(当事務所はセカンドオピニオン等で関与)

当事務所が担う領域

アサミ経営法律事務所は、この循環の中で、第三者委員会による調査を除くすべての局面に伴走することを業務の核に置いています。第三者委員会による調査は、多くの人員を動員できる大手事務所に向いた仕事です。

当事務所が担うのは、危機の入口から再発防止までの一連の流れです。

疑義が生じた段階での内部調査の組み立て、表面化した後の初動対応、第三者委員会の前後での伴走、報告書を踏まえた再発防止策の設計、平時に戻ってからの体制整備と教育を、サイクル全体の中で扱います。

加えて、危機管理広報は当事務所の中核的な強みとして打ち出しており、危機管理の本体を別の事務所が担当している場合でも、広報部分だけを当事務所が担うご相談も少なくありません。

サイクルの中で点ではなく線として伴走することが、企業の自己規律を本当の意味で育てる仕事だと思います。

危機管理

危機への関与は、不祥事として表面化した時点ではなく、その前の段階から始まります。当事務所は、疑義の発生から第三者委員会設置後の再発防止策まで、危機管理の全段階に関わります。

危機管理は本来、マニュアル通りに進められる仕事ではなく、各事案の固有の事情に応じて毎回設計し直す、オーダーメイドの仕事です。

業種、組織の規模、関係者の構図、報道の注目度、社内の力学は事案ごとに異なり、同じやり方で対応しようとすると必ずどこかで現実とずれます。

当事務所は、経験で蓄積した型を持ちつつ、その型をそのまま当てはめるのではなく、目の前の事案に合わせて使い方を組み直すことを大事にしています。

内部調査の段階

当事務所が関与を始めるのは、不祥事が公になってからではありません。

内部通報が上がってきた段階、取引先からの問い合わせや告発で疑義が生じた段階、社内のどこかで「これはまずいのではないか」という声が出始めた段階から、内部調査の進め方を経営陣と一緒に組み立てます。

誰にヒアリングをするか、どの順序で行うか、どの証拠を保全するか、調査チームに社内外の誰を入れるか、調査結果をどの範囲で共有するか。この段階での判断の質が、後の第三者委員会の調査、再発防止策、外部広報の運命を決めます。

表面化後の初動対応

疑義が現実の不祥事として表面化した後は、経営陣は混乱の中で重い判断を連続して下さなければなりません。

社内調査を誰にどこまで任せるか、外部への第一報をいつどう出すか、関係当局とどう接するか、社内の士気をどう保つか。どの判断も、後から振り返れば筋が通っていなければなりませんが、その場では時間の余裕がほぼありません。

当事務所は、20年以上にわたって危機の現場に立ち会ってきた経験から、最初の数日間で誰と何をどの順で進めるかを、経営陣の隣で組み立てます。

第三者委員会設置後

第三者委員会が設置された後も、報告書のセカンドオピニオン、報告書を踏まえた再発防止策の設計に関わり、危機を一度の事故で終わらせず、組織の学びへと転換することを支援します。

危機管理広報

危機の場面で、企業の振る舞いを最終的に評価するのは、社会、取引先、従業員、株主、地域住民といった「外」の目です。

法律的に正しい対応を取っていても、伝え方を間違えると、組織の信頼は一気に崩れます。逆に、伝え方が誠実であれば、過ちのあった企業でも信頼回復までの時間を短縮できます。

危機管理広報は、危機への対応の中で、独立した重要性を持つ仕事です。

当事務所は、危機管理広報を中核的な強みとして打ち出しています。

記者会見の設計、報道機関への第一報、ステークホルダー向けのリリース文の組み立てに加えて、住民説明会、従業員説明会、株主総会での質疑対応まで、対外発信の局面全体に関わります。

危機管理の本体を別の事務所が担当している場合に、広報部分だけを当事務所に依頼するご相談も少なくありません。著書『危機管理広報の基本と実践』(中央経済社)や月刊『広報会議』(宣伝会議)での連載「リスク広報最前線」を通じて、この領域に20年以上向き合ってきた経験と知見を活かしています。

近年は、コーポレートガバナンス・コードの改訂議論を通じて、株主との対話の重要性が一段と高まっています。株主総会の運営、機関投資家との個別対話、危機の局面における株主向け説明のあり方は、今後の企業統治の中で中核的な仕事になっていきます。

当事務所は、危機管理広報の延長として、平時・有事を問わず、株主との対話の設計にも関わっています。

ガバナンス

不祥事が起きやすい組織には、共通した特徴があります。

立派な内部統制の文書が整っているにもかかわらず、現場ではそれが「空気が読めないもの」として軽んじられている。役員会では発言が予定調和に流れ、まずい話が経営陣に届く前に途中の階層で消えていく。役員同士が互いの顔色をうかがい、長年の関係や立場への配慮から、本来指摘すべき問題に踏み込めない。

会社法が役員に課す相互の監視義務が、人間関係の機微の中で形だけのものになっていく事態は、どの企業でも起こり得ます。

当事務所は、こうした制度と現実の隙間に着目し、機関設計の見直し、社外取締役・監査役との対話の運用、役員研修、内部通報制度の運用、現場と経営の情報経路の整理など、組織の自己規律が実際に働く状態を作るための仕事に取り組んでいます。

情報セキュリティ

情報の取り扱いから生じるリスクは、伝統的な機密漏洩やサイバーインシデントだけに留まりません。

従業員によるSNSへの投稿が瞬時に炎上へと拡大する、生成AIへの業務情報の投入が意図せず企業秘密の外部流出に繋がる、こうした新しい形のリスクが日常業務の中に組み込まれています。技術部門だけの問題ではなく、経営判断、人事ルール、現場運用、対外発信の交差点で起きる事案です。

秘密保持契約や個人情報保護のルールを整えるだけでは十分ではなく、従業員が日常業務の中でそれらを守れる仕組みとして理解しているかが問われます。

当事務所は、平時の情報管理体制の設計、生成AI利用に関する社内ルールの整備、SNS運用ガイドラインの作成、インシデントや炎上発生時の初動対応、関係者への公表と謝罪の組み立てまで、技術と組織と広報の三つを横断して関わります。

研修

危機管理のサイクルの中で、研修という時間は二度立ち上がります。

一度目は、平時の体制整備の一環として行われる従業員研修や階層別のコンプライアンス教育、役員へのガバナンス教育です。

二度目は、危機を経験した組織が再発防止策の一部として実施する研修です。

サイクルの始まりと、次のサイクルへの入り口の両方に、研修という時間が位置しているということになります。

当事務所が行う研修は、教科書的な制度説明や条文の解説に終始するものではありません。

実際の事案で現場の人間がどう振る舞い、どこで判断を誤ったか、どこに沈黙が生まれたかを、経営陣・管理職・一般従業員それぞれの目線から具体的に語ります。受講者が「自分の組織でも起きうる話だ」と感じられることが、研修が機能する最低条件だと思います。

研修・講演の実績、過去のテーマ、お引き受けできる形態については、別ページをご覧ください。

おわりに

当事務所の仕事は、目立つ訴訟や派手な救済劇ではなく、「何も起きなかった」「大きな騒ぎにならずに済んだ」と経営陣と一緒に振り返る瞬間に意味があります。

会社の利益と、社会から見て妥当な振る舞いは対立するものとして語られがちですが、本来は両立し、両立させなければ長く続く事業にはなりません。その難しい両立を、サイクル全体の中で、経営陣の隣で考え続ける弁護士でありたいと思います。

企業の不祥事対応に関するご相談、第三者委員会報告書のセカンドオピニオン、危機管理体制の見直しなど、サイクルのどの局面についても、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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