女性役員の選任を推進する動きは本当に正しいのか?素朴な疑問をChatGPTに訊いてみた(2/2)

こんにちは。弁護士の浅見隆行です。

前の投稿で、女性役員の推進についての素朴な疑問をChatGPTにぶつけてみました。

多様性だけでは納得感がないのであれこれ訊いてみたのですが、ChatGPTの答えに突っ込んでみると、堂々巡りの答えが出てくるだけで、納得感がありませんでした。

その続きです。

質問の角度を変えたら、少し違った視点が出てきました。

Qは私の質問、AはChatGPTの答えです。

現在、上場会社では女性の中間管理職は少ないです。この状況で、女性役員の推進をしても役員に選ばれるのは社外の女性であって、社内の女性には活躍の場を与えることにはならないのではないか?

ご指摘いただいた通り、女性の中間管理職の割合が少ないという状況があります。女性役員の推進によって、役員ポジションに選ばれるのは社外の女性であり、社内の女性には直接的な活躍の機会が提供されない可能性があります。

このような状況については、以下のような観点から考える必要があります。

  1. パイプラインの構築と人材育成:女性役員の推進は、女性が経営層に進出する機会を拡大するための重要なステップです。しかし、より効果的な取り組みには、女性の中間管理職層を強化し、リーダーシップのパイプラインを構築することが不可欠です。企業は、女性のキャリア開発やリーダーシップ育成に注力し、内部の女性社員に活躍の機会を提供することが重要です。
  2. 役員選任プロセスの見直し:企業は、役員選任プロセスを見直し、多様性の観点から公正かつ透明な選任手続きを確立する必要があります。女性候補者の存在やその能力を適切に評価し、内部の女性社員にも適切な機会を与えることが重要です。また、企業が女性役員を採用する際には、経験や能力の幅広さだけでなく、多様性の観点からも選択を行うことが望ましいです。
  3. インクルージョンと組織文化の改善:女性社員が活躍できる環境を整えるためには、インクルージョンを促進し、組織文化を改善することが重要です。多様な背景や視点を尊重し、仕事のチャンスや資源へのアクセスにおいて公平さと平等さを確保することが必要です。また、女性がキャリアを進めるための柔軟な働き方や家族負担の軽減など、ワークライフバランスを重視した施策も必要です。

これらの取り組みが進められることで、女性役員の推進だけでなく、社内の女性社員にも活躍の機会を提供することが期待されます。女性役員の推進が社内の女性社員に直接的な影響を与えるためには、企業が以下の点に注力する必要があります。

  1. ラダーダイバーシティの推進:企業は、女性が中間管理職から役員に進むためのキャリアパスを整備する必要があります。女性社員がスキルや経験を磨き、リーダーシップの機会を得られるような制度やプログラムを提供することが重要です。透明性と公正性を持った昇進プロセスを確立し、女性社員の成長をサポートする環境を整えることが求められます。
  2. メンタリングとサポートの提供:女性社員がリーダーシップのポジションに進む際には、メンタリングやコーチングなどのサポートが重要です。企業は、上級管理職や経験豊富な役員が女性社員を支援し、キャリアアドバイスや成長の機会を提供することが必要です。また、女性リーダーが役員に昇進する際の課題や障壁を理解し、それに対応するためのプログラムやリソースを提供することも重要です。
  3. ダイバーシティを重視した企業文化の醸成:組織文化が女性の活躍を促進することも重要です。企業は、ダイバーシティとインクルージョンを重視した働き方や意思決定プロセスを推進し、女性社員が自己表現しやすい環境を創り出すことが求められます。また、女性社員の声を積極的に受け入れ、そのフィードバックに基づいて組織の改善を行うことも重要です。

女性役員の推進だけでなく、社内の女性社員にも活躍の機会を提供するためには、継続的な取り組みと包括的なアプローチが必要です。組織全体が多様性を重視し、女性リーダーシップの推進を総合して取り組むことが重要です。女性役員の推進は、組織の文化や構造を変革し、女性社員が活躍できる環境を築く一環として位置づけられるべきです。

そのためには、以下のような具体的な施策が考えられます。

  1. ポジティブアクションの導入:企業は、女性社員のリーダーシップ育成や役員候補の選定において、積極的なアクションを取る必要があります。例えば、女性社員に対して特別なトレーニングやメンタリングプログラムを提供することや、役員候補リストに女性を積極的に加えることなどが考えられます。
  2. フレキシブルな働き方の促進:女性社員がキャリアと家庭の両立をしやすい環境を整えることも重要です。企業は、フレキシブルな働き方や育児支援策を提供することで、女性社員がキャリアを進める意欲を持ち続けることができるようにサポートする必要があります。
  3. ダイバーシティへのコミットメントの明示:企業は、ダイバーシティへのコミットメントを明確に示すことが重要です。ダイバーシティポリシーの策定や目標の設定、透明性の確保などを通じて、女性役員の推進が組織の重要な目標であることを明確に示す必要があります。
  4. モデルとなるリーダーシップの展示:企業のトップリーダーは、女性役員の推進に積極的に取り組む姿勢を示すことが重要です。女性リーダーの存在や成功事例を積極的に紹介し、社内の女性社員にとってのロールモデルとなることが求められます。

これらの施策を継続的に推進することで、女性役員の推進だけでなく、社内の女性社員にも活躍の機会を与えることができます。女性社員の能力やポテンシャルを最大限に活かし、多様性と経済的成果を両立させることができるのです。女性の活躍は企業にとって競争力の源であり、多様性を活かした意思決定や創造性の向上につながります。

また、女性役員の推進によって社内外にもポジティブな影響が生まれる可能性があります。顧客や投資家、社会全体は、企業が多様性を重視し、ジェンダーバランスを実現する姿勢を持っていることに価値を見出す傾向があります。女性役員の存在は、企業のイメージやブランド価値を向上させることにつながり、新たなビジネスチャンスや市場の開拓にも寄与する可能性があります

したがって、女性役員の推進は単なる多様性の追求だけでなく、企業の長期的な成長と繁栄につながる戦略的な取り組みなのです。女性が経営層に進出し、意思決定に参画することで、より広い視点や異なる経験を反映させることができます。これにより、企業は変化に対応し、イノベーションを生み出し、市場で競争力を維持することができるのです。

最終的には、企業が持続可能な成長を達成するためには、女性役員の推進は必要な要素の一つであると言えます。女性の参画とリーダーシップの強化は、企業のパフォーマンス向上と社会的な進歩を両立させるために不可欠なのです。

社内の社員を成長させることは、女性社員に限らず男性社員やLGBTの社員にも求めるべきだと思いますが、なぜ女性社員だけを推進させるのですか

ご指摘の通り、企業は全ての社員の成長と発展を促進する責任があります。多様性とインクルージョンは、ジェンダーだけでなく、性別、人種、民族、性的指向、障害の有無、年齢などの要素を含む幅広い領域にわたって重要です。

女性役員の推進が注目される理由は、長い間、経済やビジネスの世界において男性が主導的な役割を担ってきたため、女性が経済活動やリーダーシップの領域での機会に制約を受けてきた歴史的な背景があります。女性役員の推進は、この歴史的な格差を解消し、ジェンダーバランスを実現するための重要な取り組みの一つと位置付けられています。

女性役員の推進には、以下のような理由があります:

  1. 歴史的な格差の解消: 長い間、男性が経済活動やリーダーシップのポジションを占めてきたため、女性には機会が制限されてきました。女性役員の推進は、この歴史的な格差を解消し、平等な機会を提供するための取り組みの一環です。
  2. ジェンダーバランスの実現: 多様性は組織のパフォーマンスとイノベーションに寄与することが多くの研究で示されています。ジェンダーバランスは、異なる視点や経験を組織に取り入れ、意思決定の質を向上させることが期待されます。
  3. ロールモデルとしての存在: 女性役員の存在は、他の女性社員にとってのロールモデルとなり得ます。女性が経済活動やリーダーシップの領域で成功を収める姿は、多くの女性社員に勇気やインスピレーションを与えることができます。

女性役員の推進が注目される背景には、歴史的な格差の解消とジェンダーバランスの実現がありますが、それは他の多様性の要素との関連性を排除するものではありません。

企業は、多様性とインクルージョンの観点から、すべての社員の成長と発展を促進すべきです。女性だけでなく、男性社員やLGBTの社員、異なる人種や民族、異なる年齢層の社員など、すべての社員が公平な機会とサポートを受けることが重要です。

女性役員の推進が強調されるのは、ジェンダーバランスの問題が特に顕著であるためです。経済やビジネスの世界において、女性が経済活動やリーダーシップのポジションにおいて十分な存在感を持っていない実情があります。このような状況を解消するために、女性役員の推進が重要な取り組みとなっています。

しかし、女性役員の推進が進められる過程で、他の多様性の要素も考慮されるべきです。多様な背景や経験を持つ社員が組織内で活躍できるようにするためには、包括的なダイバーシティ戦略が必要です。企業は、ジェンダーだけでなく、他の多様性の要素にも焦点を当て、適切な措置を講じることが求められます。

総括すると、女性役員の推進は、ジェンダーバランスの実現や歴史的な格差の解消を目指す重要な取り組みですが、それは他の多様性の要素を無視するものではありません。企業は全ての社員の成長と発展を促進するために、包括的なダイバーシティ戦略を策定し、多様性とインクルージョンを組織文化の中心に据えるべきです。

ちょっと納得感がありそうな答えは出てきましたが、少し突っ込んでみると、結局、堂々巡りで、箇条書きが文章になっただけで同じ結論になりました・・・。

女性の労働者が活躍できる場を設けることには賛成ですが、一定の割合を強制する理由は納得できないままです。

長期的な目で女性管理職を増やし、そこから役員としての適性がある女性があらわれたら(というか、男女の別なく役員の適性がある者が現れたら)、役員に選任するので良いのではないか?としか思えませんでした。

アサミ経営法律事務所 代表弁護士。 1975年東京生まれ。早稲田実業、早稲田大学卒業後、2000年弁護士登録。 企業危機管理、危機管理広報、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、情報セキュリティを中心に企業法務に取り組む。 著書に「危機管理広報の基本と実践」「判例法理・取締役の監視義務」「判例法理・株主総会決議取消訴訟」。 現在、月刊広報会議に「リスク広報最前線」、日経ヒューマンキャピタルオンラインに「第三者調査報告書から読み解くコンプライアンス この会社はどこで誤ったのか」、日経ビジネスに「この会社はどこで誤ったのか」を連載中。