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公正取引委員会が自動車ディーラー・車体整備事業者間取引、運送事業者間取引における下請法被疑事件の集中調査の結果を発表。指摘されている内容は、取適法施行に向けた重点項目として理解すべき。 – アサミ経営法律事務所

公正取引委員会が自動車ディーラー・車体整備事業者間取引、運送事業者間取引における下請法被疑事件の集中調査の結果を発表。指摘されている内容は、取適法施行に向けた重点項目として理解すべき。

こんにちは。弁護士の浅見隆行です。

公正取引委員会は2025年12月22日から23日にかけて、自動車ディーラー・車体整備事業者間の取引における下請法被疑事件の集中調査の結果と運送事業者間取引における下請法被疑事件の集中調査の結果を公表しました。

公取委が指摘した主な下請法違反行為の傾向

公取委は、自動車ディーラー・車体整備事業者間では車輌の修理委託取引が行われていることを前提に、主な下請法違反行為の傾向として、以下の4点を指摘しました。

  • 取引条件の書面の不交付・記載不備
  • 支払遅延
  • 買いたたき
  • 不当な経済上の利益の提供要請

また、運送事業者間取引における主な下請法違反行為の傾向として、以下の3点を指摘しました。

  • 取引条件の書面の不交付・記載不備
  • 買いたたき
  • 不当な経済上の利益の提供要請

取適法での重点項目として理解すべき

これらの違反行為の傾向として指摘された項目は、取適法でも、引き続き、委託事業者の義務あるいは禁止行為とされている内容です。

細かい話しでいえば、取引条件の書面の交付については、取適法では取引条件の明示義務となり、書面またはメールでよくなります。

また、買いたたきについては、「協議に応じない一方的な代金の決定」として、より広く禁止されることになります。

そのため公取委の資料を見ると、以下のように注意喚起しています。

(取適法)においては、委託事業者の禁止行為として「協議に応じない一方的な代金決定」が追加されることに加え、事業所管省庁に指導・助言権限が付与されることで、一層、取引適正化を阻害する行為に対する監視が強化されることとなるため、自動車ディーラーと車体整備事業者との間の取引においては、改めて取適法の趣旨の周知徹底と法令遵守が求められる

 (取適法)では、委託事業者の禁止行為として「協議に応じない一方的な代金決定」が追加されるため、委託事業者は中小受託事業者からの価格協議に応じない場合は取適法上問題となり得ることにも留意する必要がある

また、取適法では、対象となる取引に「特定運送委託」が追加されるので、その点についても注意喚起しています。

取適法では、適用対象となる取引に特定運送委託が追加され、発荷主から直接運送事業者に委託する運送も同法の適用対象となるため、発荷主及び運送事業者の双方において法令遵守の徹底に取り組む必要があると考えられる。

そのうえで、公取委は、自動車ディーラー・車体整備事業者間の取引については、

公正取引委員会及び中小企業庁は、今回の調査・指導の結果を踏まえ、事業所管省庁と更なる連携を図りながら、引き続き、自動車ディーラーと車体整備事業者との間の取引の適正化に向けて、取適法に違反する又は違反するおそれのある行為については迅速かつ厳正に対応していくこととする。

とし、運送事業者間取引についても、

 公正取引委員会及び中小企業庁は、今回の調査・指導の結果を踏まえ、事業所管省庁と更なる連携を図りながら、引き続き、運送事業者間の取引の適正化に向けて、違反する又は違反するおそれのある行為については、取適法に基づき迅速かつ厳正に対応していくこととする。
 また、その一環として、公正取引委員会、中小企業庁及び国土交通省は、物流業界の取引適正化を阻害する行為に対して取適法・トラック法を活用してシームレスに対応するために、3省庁で執行情報の共有を行う連絡会議を定期的に開催し、一層の執行連携に取り組んでいくこととする。

とし、公取委だけでなく、中小企業庁、監督官庁である国交省らとともに「迅速かつ厳正に対応していく」ことを謳っています。

これは、自動車ディーラー・車体整備事業者、運送事業者だけではなく発荷主についても、取適法を遵守するようにという公取委からの注意宣言と捉えてもよいものです。

少なくとも、上記の下請法違反行為の傾向として挙げられた点は、行政による重点項目として調査の対象になるとして、企業側は慎重になる必要があります。

取適法が施行される前はもちろん、施行されてからも、自動車ディーラー・車体整備事業者、運送事業者、発荷主は、取適法の内容について役員・従業員向けに研修などをすることで理解を深めていくことが必要です。

アサミ経営法律事務所 代表弁護士。 1975年東京生まれ。早稲田実業、早稲田大学卒業後、2000年弁護士登録。 企業危機管理、危機管理広報、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、情報セキュリティを中心に企業法務に取り組む。 著書に「危機管理広報の基本と実践」「判例法理・取締役の監視義務」「判例法理・株主総会決議取消訴訟」。 現在、月刊広報会議に「リスク広報最前線」、日経ヒューマンキャピタルオンラインに「第三者調査報告書から読み解くコンプライアンス この会社はどこで誤ったのか」、日経ビジネスに「この会社はどこで誤ったのか」を連載中。

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