「3月11日の赤飯」や「新校名」への抗議にどう向き合うか。行政に求められる不当クレームへの法的思考。

不当なクレームへの対応は、組織の正当性と職員の安全を守るために不可欠です。「3月11日の赤飯」や「新校名」への抗議は、法的侵害ではなく個人の価値観の押し付けに過ぎません。
行政は民間企業以上に「公平性」が求められます。一部の強い意見に屈して方針を変えることは、他の市民の利益を損なう「行政の歪み」を招きます。対応の鍵は、感情論と法的妥当性を切り離すことです。正当なプロセスで決まった事項は「NO」と明示し、窓口を一元化して組織で対応します。
ゴールは相手を納得させることではなく、決定事項を淡々と伝え業務を継続することです。毅然とした態度こそが、結果として公共の利益を守ることにつながります。

続きを読む →

サステナビリティ基準委員会がSSBJ基準の改正を公表。SSBJ基準によって上場会社の取締役の経営判断とガバナンスにはどのような影響が生じるか。

SSBJ基準への対応は、将来の不確実性を数字で管理し、経営判断の合理性を証明する作業です。

本基準は、従来のCSRのような任意報告とは異なり、有価証券報告書での「法定開示」を義務付けます。最大の変化は、抽象的な表現が許されず、炭素税などのリスクや収益機会を具体的な財務インパクトとして数値化する点にあります。

経営陣には、これら非財務情報を経営計画や投資判断に統合するガバナンス構築が求められます。可視化されたリスクを軽視した投資や、財務諸表と矛盾する不正確な開示は、取締役の善管注意義務違反や虚偽記載罪に問われる法的リスクに直結します。本基準への対応は、単なる事務作業ではなく、経営の正当性を担保するための必須事項です。

続きを読む →

小学館が「マンガワン」から作品の配信等を停止した事案から学ぶ、間接的な人権侵害の助長防止と、企業が策定した人権指針を「絵に描いた餅」にしないための企業の危機管理

小学館が、過去に性犯罪で逮捕・起訴された作家を別名義で再起用していた問題に対し、配信停止や第三者委員会の設置を決定しました 。本件は、現代企業に求められる「ビジネスと人権」の観点から極めて重要な示唆を含んでいます。企業の人権尊重責任は、自社の直接的な活動に留まりません 。人権侵害を行った取引先と取引を継続することは、間接的にその侵害を助長・促進することに繋がります 。小学館の判断は、この加担を解消しようとする動きと言えます 。

また、自社サイト等で人権指針を公表している企業には、その指針に沿った誠実な行動が求められます 。今回問われている「管理監督責任」とは、作家個人の行動管理ではなく、人権意識に基づいた適切な取引を判断・実行させるべき従業員への教育と監督を指します 。本コラムでは、リスクを公表し透明性を確保する現代の企業姿勢と、現場の判断がブランド価値を左右するガバナンスの本質を解説します。

続きを読む →

ニデック事案を教訓にして、創業家の影響力が強い会社においてガバナンス改革を成功させる現実的な導入方法を考える。オーナーのプライドをいかにしてくすぐるかが最大のコツ。

ガバナンスは、経営者が企業価値を損なう意思決定をしそうになったときに、それを物理的に制止するための仕組みです。

企業価値を重視するオーナーであればあるほど、ガバナンスが効いた透明性の高い組織への転換を促すことが企業価値の向上に繋がることを説得し、そのプライドをくすぐるのです。

そうすると、オーナーもガバナンス改革に乗り気になるような気がします。

続きを読む →

SAAFホールディングスにて続く前代表との経営権争いと現経営陣によるガバナンス改革の攻防。現経営陣にはステークホルダーに対する広報の意識が必要ではないか。

SAAFホールディングスにて続く前代表との経営権争いと現経営陣によるガバナンス改革の攻防。現経営陣にはステークホルダーに対する広報の意識が必要

続きを読む →

小林製薬が監査等委員会設置会社に移行することを発表。ガバナンス改革は成功するのだろうか? 過去の成功事例と比較しながら考える。

こんにちは。弁護士の浅見隆行です。 連日のように各企業での社内研修の講師としてお招きいただいたり、地方での企業の勉強会・講演会などにもお声がけていただき飛び回っていたため、ブログの更新が滞ってました。…

続きを読む →

東大教授がソープ接待等を理由に収賄で逮捕。民間企業が公務員に営業活動をする際の留意点。なにをどこまでできるのか。

東大大学院医学系研究科の教授が、化粧品関連団体の代表理事から、共同研究講座の運営で便宜を図る見返りに、ソープランドや高級クラブなどで約180万円相当の接待を受けたとして収賄容疑で逮捕されました。部下を含めた接待総額は460万円超とみられます。教授は「みなし公務員」にあたります。業者側が過剰な接待要求に耐えかね警察に相談したことで事件が発覚しました

続きを読む →

プルデンシャル生命の営業社員や元社員106人が、顧客約500人から総額約31億円を不適切に取得した不適切事案が発覚。「信じて任せる」の限界はどこか。営業社員に対するガバナンスを考える。

プルデンシャル生命で社員ら106名による約31億円の金銭不祥事が判明し、社長が辞任しました。成果主義や長期担当制による顧客との関係の「密室化」が原因とされます。一般企業の転勤制度のような防止策がとれないビジネスモデルであり、再発防止に向けた管理強化と、強みである営業社員の裁量権維持との両立という重い課題を突きつけています。

続きを読む →

中部電力が浜岡原発の安全審査に関わるデータを意図的に操作。安全性を損なうデータ不正はなぜ止められなかったのか。ガバナンスが機能しなかった理由。

中部電力浜岡原発で、耐震設計の根幹となる「基準地震動」のデータ不正が発覚しました。審査合格を優先し、有利な数値を意図的に作っていたのです。この問題の本質は、専門部署のブラックボックス化や現場への過度なプレッシャーといったガバナンスの不全にあります。信頼は一瞬で崩壊します。自社の組織に同様の「聖域」がないか、今一度点検が必要です。

続きを読む →

元福井県知事によるセクハラ事案の調査報告書から見る、セクハラ事案の調査の困難さ。なぜ、調査対象者6000人のうち4人しか協力しなかったのか。

本件の調査で6,000人中、詳細な協力者が4名に留まったのは、職員が「ハラスメントを認容していた」からではありません。最大の理由は、組織トップの知事という絶対的な権力を前にした「特定や不利益への恐怖」と、周囲の無理解による「二次被害への不安」です

続きを読む →

error: 右クリックは利用できません