豊田自動織機を非公開化するTOBが終了。持ち合い株式も解消したトヨタグループの再編に学ぶ、事業成長のための「非公開化」という選択肢。

トヨタグループは、豊田自動織機の非公開化を柱とする資本再編を実施しました。目的は、短期的な市場評価に左右されず、物流ソリューションや自動運転等の成長分野へ中長期的な投資を行うためです。
再編では、特定の事業会社に支配されないよう、グループ各社が出資するトヨタ不動産を親会社に据えました。同時に、織機が保有するトヨタ自動車やデンソー等の株式を売却し、その資金を自社株買いや非公開化の原資に充てることで、持ち合い株式を「攻めの資本」へ転換しました。
この「しがらみ」を成長投資へ転換する独創的な手法は、上場維持に拘らない抜本的な改革を目指す企業のモデルケースといえます。

続きを読む →

2026年3月期から変わる人的資本開示。事業戦略と連動しない人的資本開示は経営リスクになる。「平均値」を追うのをやめるべき理由。

2026年3月期から、人的資本の開示は「経営戦略との連動」が義務化され、取締役の経営判断の合理性がより厳格に問われるようになります。

これまで「福利厚生」として処理されがちだった人材コストを、事業計画達成のための「投資」と再定義すべきだと指摘しています。経営陣が意識すべきは、単なる数値の「平均値」を上げることではありません。目指すべき戦略と現状の人材ポートフォリオの間にある「ギャップ」を特定し、それを埋めるための投資判断をロジカルに説明できるかどうかが鍵となります。

開示を単なる義務ではなく、自社の勝機を市場に宣言する「経営戦略の根幹」と捉え直すための、具体的な視点を解説します。

続きを読む →

2026年3月25日発売の「月刊企業実務」4月号に、拙稿「どこまで省力化できるか!? 生成AI×株主総会 準備・当日・事後対応の実務改善」が掲載されます。プロンプト例なども掲載しています。

こんにちは。弁護士の浅見隆行です。 2026年3月25日発売の「月刊企業実務」4月号に、拙稿「どこまで省力化できるか!? 生成AI×株主総会 準備・当日・事後対応の実務改善」が掲載されます。 株主総会…

続きを読む →

「3月11日の赤飯」や「新校名」への抗議にどう向き合うか。行政に求められる不当クレームへの法的思考。

不当なクレームへの対応は、組織の正当性と職員の安全を守るために不可欠です。「3月11日の赤飯」や「新校名」への抗議は、法的侵害ではなく個人の価値観の押し付けに過ぎません。
行政は民間企業以上に「公平性」が求められます。一部の強い意見に屈して方針を変えることは、他の市民の利益を損なう「行政の歪み」を招きます。対応の鍵は、感情論と法的妥当性を切り離すことです。正当なプロセスで決まった事項は「NO」と明示し、窓口を一元化して組織で対応します。
ゴールは相手を納得させることではなく、決定事項を淡々と伝え業務を継続することです。毅然とした態度こそが、結果として公共の利益を守ることにつながります。

続きを読む →

日経ヒューマンキャピタル・オンラインにて連載中の「新・この会社はどこで誤ったか」が更新されました。今回はクシム(現、HOLD 1)の調査報告を取り上げました

こんにちは。弁護士の浅見隆行です。 日経ヒューマンキャピタル・オンラインにて連載している「新・この会社はどこで誤ったか」が更新されました。 今回は、クシム(現、HOLD 1)の調査報告書を取り上げまし…

続きを読む →

サステナビリティ基準委員会がSSBJ基準の改正を公表。SSBJ基準によって上場会社の取締役の経営判断とガバナンスにはどのような影響が生じるか。

SSBJ基準への対応は、将来の不確実性を数字で管理し、経営判断の合理性を証明する作業です。

本基準は、従来のCSRのような任意報告とは異なり、有価証券報告書での「法定開示」を義務付けます。最大の変化は、抽象的な表現が許されず、炭素税などのリスクや収益機会を具体的な財務インパクトとして数値化する点にあります。

経営陣には、これら非財務情報を経営計画や投資判断に統合するガバナンス構築が求められます。可視化されたリスクを軽視した投資や、財務諸表と矛盾する不正確な開示は、取締役の善管注意義務違反や虚偽記載罪に問われる法的リスクに直結します。本基準への対応は、単なる事務作業ではなく、経営の正当性を担保するための必須事項です。

続きを読む →

ドラッグストア「ザグザグ」に公正取引委員会が優越的地位の濫用を理由に警告した事例から学ぶ、取引先に従業員の派遣を要請する法的リスクと、その回避策。

ドラッグストア運営のザグザグが、新規開店等の際に納入業者から無償で従業員を派遣させたとして、公正取引委員会から警告を受けました。
同様の行為は独占禁止法や中小受託取引適正化法(取適法)で禁止されており、過去にもダイコクやロピアなど多くの企業が処分を受けています 。
背景には、現場担当者の「協力して当たり前」という甘えや特権意識があります。しかし、立場が弱い業者は取引継続を考慮して断れないのが実態です。
対策として、他社商品の作業を依頼しないことはもちろん、相手からの請求がなくても、事前に合意した条件に基づき正当な費用を支払うことが不可欠です 。

続きを読む →

小学館が「マンガワン」から作品の配信等を停止した事案から学ぶ、間接的な人権侵害の助長防止と、企業が策定した人権指針を「絵に描いた餅」にしないための企業の危機管理

小学館が、過去に性犯罪で逮捕・起訴された作家を別名義で再起用していた問題に対し、配信停止や第三者委員会の設置を決定しました 。本件は、現代企業に求められる「ビジネスと人権」の観点から極めて重要な示唆を含んでいます。企業の人権尊重責任は、自社の直接的な活動に留まりません 。人権侵害を行った取引先と取引を継続することは、間接的にその侵害を助長・促進することに繋がります 。小学館の判断は、この加担を解消しようとする動きと言えます 。

また、自社サイト等で人権指針を公表している企業には、その指針に沿った誠実な行動が求められます 。今回問われている「管理監督責任」とは、作家個人の行動管理ではなく、人権意識に基づいた適切な取引を判断・実行させるべき従業員への教育と監督を指します 。本コラムでは、リスクを公表し透明性を確保する現代の企業姿勢と、現場の判断がブランド価値を左右するガバナンスの本質を解説します。

続きを読む →

ニデック事案を教訓にして、創業家の影響力が強い会社においてガバナンス改革を成功させる現実的な導入方法を考える。オーナーのプライドをいかにしてくすぐるかが最大のコツ。

ガバナンスは、経営者が企業価値を損なう意思決定をしそうになったときに、それを物理的に制止するための仕組みです。

企業価値を重視するオーナーであればあるほど、ガバナンスが効いた透明性の高い組織への転換を促すことが企業価値の向上に繋がることを説得し、そのプライドをくすぐるのです。

そうすると、オーナーもガバナンス改革に乗り気になるような気がします。

続きを読む →

SAAFホールディングスにて続く前代表との経営権争いと現経営陣によるガバナンス改革の攻防。現経営陣にはステークホルダーに対する広報の意識が必要ではないか。

SAAFホールディングスにて続く前代表との経営権争いと現経営陣によるガバナンス改革の攻防。現経営陣にはステークホルダーに対する広報の意識が必要

続きを読む →

error: 右クリックは利用できません