豊田自動織機の不正と社長のその後についてGoogleBardに訊いてみた。

こんにちは。弁護士の浅見隆行です。

今日、Googleが生成系AI「GoogleBard」が日本語に対応したことを公表しました。

GoogleBardはどこまで豊田自動織機の不正問題を知っているか?

chatGPTは最近の出来事についての情報は疎いです。

GoogleBardはどこまで最近の情報を拾うのか試しに使ってみました。

GoogleBardに訊いてみたのは、豊田自動織機の不正問題についてです。

辞任した社長が副会長に就任するという記事を読んで気になっていたので、その詳細を訊いてみました。

以下、Qは私が書いたもの、AはGoogleBardの答えです。
答えの下に私の雑感を付け加えました。

Q.豊田自動織機でも最近、不正がありました 概要を教えてください

トヨタ自動車グループの豊田自動織機は、2023年3月にフォークリフト用エンジンの排出ガス試験不正問題を公表した。

不正は、2012年から2014年にかけて、排出ガス試験で必要な試験を実施せずに推定値を用いたり、一部のデータを改ざんしたりしたもの。これにより、排出ガス性能が基準を満たしていないエンジンが認証を取得していた。

豊田自動織機は、不正を行った従業員に対して厳正な処分を行うとともに、再発防止策を講じるとしている。

国土交通省は、豊田自動織機に対して、量産に必要なエンジンの型式指定を取り消す処分を行う方針を固めている。

GoogleBard

4月26日に国交省は行政処分を出しています。

GoogleBardは、2週間経っても、行政処分の情報にはアップデートが追いついていないようです。
Bardのクロールのタイミングがどの程度なのかが気になるところです。

その一方で、不正の内容についてはGoogleBardのほうが豊田自動織機のリリースより詳しく書かれているように思います。

というのは、3月17日のリリース(サイトに出ているテキスト部分)には「経年劣化による排出ガス国内規制値の超過と、排出ガス国内認証に関する法規違反の可能性」だけしか書かれていなかったからです。

そのため、GoogleBardの答えを見たときには、一瞬、ミスリードかなと思いました。

しかし、GoogleBardの答えを見てから、不正の詳細がどこに書かれているのか確認してみると、3月17日のリリースに参考資料として添付されているpdfファイル日経クロステック(無料記事部分)に書かれていました。

自分で調べるよりもGoogleBardが情報を整理してくれていた、ということです。

こういう使い方をすれば、自分が気がつかないデータや情報が見つけられそうです。

Q.豊田自動織機の社長は辞めないのですか?

豊田自動織機の社長である大西朗は、2023年4月27日に辞任した。大西は、排出ガス試験不正問題について「責任を痛感し、深くお詫び申し上げます」と述べた。

豊田自動織機は、大西の後任として伊藤浩一取締役副社長を社長に内定した。伊藤は、1984年に豊田自動織機に入社し、生産技術や生産管理などを担当してきた。

GoogleBard

GoogleBardの答えには「責任を痛感し」とのコメントが載っています。

しかし、各種メディアの報道を見ると、大西朗氏が不正と社長交代には関連がなく「若返り」が理由であると説明したことを強調しています。

例えば、日経新聞では次のようになっています。地元紙の中日新聞をはじめ他紙も同様です。

「責任を痛感し」という理由なら不正で潔く引責辞任したように見えるのに対し、「若返り」という理由なら不正で引責辞任しないの?という社長交代への疑問符が生まれます。

GoogleBardのまとめ方で理解するかメディアの報道内容を見て理解するかで、見る人の感情や反応が変わります。

危機管理広報をする場合、企業側はどんな情報がGoogleBardにクロールされるのかを意識する必要が出てきそうです。

Q.副会長になる人は誰ですか?

大西朗は、2023年6月9日付で代表権を持つ副会長に就任する。

GoogleBard

Q.辞任したのに副会長になるのは何故ですか?

大西朗は、2023年4月27日に社長を辞任しましたが、副会長には留任しました。これは、大西が排出ガス試験不正問題の責任をとる一方で、豊田自動織機の経営を支え続けることを表明したためです。大西は副会長として、新社長の伊藤浩一を支え、再発防止策の策定や経営の立て直しに取り組むことになります。

豊田自動織機は、トヨタ自動車の100%子会社であり、トヨタグループの基幹企業の一つです。排出ガス試験不正問題は、トヨタグループ全体の信用を失墜させる可能性があり、大西は副会長としてその責任を負うことになります。しかし、大西は豊田自動織機の経営に長く携わってきた経験と人脈を持っており、新社長の伊藤を支え、再発防止策の策定や経営の立て直しに貢献することが期待されています。

GoogleBard

豊田自動織機は、トヨタが筆頭株主ではあるけれど、トヨタの100%子会社ではないので、ここは答えが間違っています。

でも、グループ全体の信用を失墜させる可能性があるのは間違いないですね。

Q.副会長は新設のポストですよね?

大西朗の副会長就任は、豊田自動織機の新しいポストではありません。豊田自動織機には、すでに代表権を持つ副会長が2名(内田正敏、永田勝久)おり、大西は3人目の副会長となります。

大西の副会長就任は、排出ガス試験不正問題の影響を受けてのものであり、これまでの副会長とは役割が異なります。大西は、新社長の伊藤を支え、再発防止策の策定や経営の立て直しに取り組むことになります。

GoogleBard

豊田自動織機の会社概要を見ると、副会長の役職は存在しないので、既に代表権をもつ副会長が2人いるとの情報も間違っています(GoogleBardはこう答えたという意味で、そのまま引用しました)。

日経クロステックの記事にも新設ポストと書かれています。

不正の後に辞任した社長が新設ポストの副会長に就任するか、それともGoogleBardのように、単に辞任した社長が従前から存在する副会長に就任するか、これも読む側に与える印象はまったく違います。

chatGPTもそうでしたが、GoogleBardの答えを鵜呑みにしないことも必要です。

事実どおりなら、不正のあとに社長を交代したのに新設ポストの副会長に就任するのは潔くない、と感じるでしょう。

それどころか、ネットやメディアでは、

  • 10年社長をやってから新設の副会長に就任するなんて院政を敷くの?
  • 豊田自動織機の他の取締役による監視義務、ガバナンスはどうなっているのか?
  • 大株主であるトヨタのガバナンスはどうなっているんだろう?このタイミングで社長が辞任したあとに副会長に就任したことを承諾したのか?

という声が見られました。私もほぼ同様の受け止め方をしました。

ダイハツの件ではグループ・ガバナンスが効いていたのに、豊田自動織機ではそうでもない。
トヨタグループでは、あと、日野自動車の不正の問題もあります。

豊田自動織機はトヨタグループの発祥の会社です。
ここでガバナンスが甘いと、結局、身内には甘いのか?と感じてしまいます。

トヨタの新体制の本音がどこにあるのかを判断する意味でも、キチンと対応して欲しいところです。新体制には期待しています。

GoogleBardへの感想

GoogleBardの答えは、以上の突っ込んだ部分以外はほぼあっています。

これは仕事の調べ物で使えるのは間違いありません。

アサミ経営法律事務所 代表弁護士。 1975年東京生まれ。早稲田実業、早稲田大学卒業後、2000年弁護士登録。 企業危機管理、危機管理広報、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、情報セキュリティを中心に企業法務に取り組む。 著書に「危機管理広報の基本と実践」「判例法理・取締役の監視義務」「判例法理・株主総会決議取消訴訟」。 現在、月刊広報会議に「リスク広報最前線」、日経ヒューマンキャピタルオンラインに「第三者調査報告書から読み解くコンプライアンス この会社はどこで誤ったのか」、日経ビジネスに「この会社はどこで誤ったのか」を連載中。
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