株主は、会社の営業時間内ならいつでも、会社に対して、株主名簿の閲覧・謄写(コピー)を請求することができます。

そのため、株主が株主名簿の閲覧・コピーを要求してきた場合には、会社は、その請求に応じなければならないのが原則です。

しかし、株主名簿は個人情報を多様に含む会社の重要な財産です。

また、株主が会社に対して株主名簿の閲覧・コピーを要求してくるようなケースは、通常、株主間でプロクシー・ファイト(委任状勧誘合戦)などが行われ、株主一般に対する多数派工作を行い、株主が会社役員を解任しようなどともくろんでいるケースが多いです(選挙と同じだとイメージしてください。一部の株主が、自分たちの擁立する役員候補者が取締役に選ばれるようにするために、選挙権を持っている者の名簿を見たいと考えるのと同じです)。

このような状況で、現経営陣側である会社は、そう簡単に、株主からの株主名簿閲覧・コピー請求に応じるわけにはいきません。

そこで、このような場合、会社側は、株主に対して、ほかの株主の個人情報の保護を理由に、株主名簿のその株主が記載されている欄だけを示す(他の株主の名簿は見せない)という形で抵抗することがあります。

もちろん、この方法によって抵抗する場合には、株主が裁判所に対して、株主名簿の閲覧請求訴訟を提起することは覚悟する必要があります。

それ以外には、会社法上、会社が株主名簿の閲覧・コピーを拒絶することができる理由を定めているので、その理由を元に、株主名簿の閲覧・コピーを拒絶するということが考えられます。

もっとも典型的なものは、「株主がその権利の確保または行使に関する調査以外の目的で請求を行った」という理由です。

プロクシー・ファイト(委任状勧誘合戦)による多数派工作は、この典型例といえます。

また、「株主が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、または株主の共同の利益を害する目的で請求を行った」という理由も、会社が拒絶する理由になります。

総会屋などによる嫌がらせ目的が、これに当たります。

さらには、「株主が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、またはこれに従事するものであるとき」という理由も、会社が拒絶する理由になります。

ただ、この「実質的に競争関係にある事業を営み」という理由で拒絶した場合でも、株主側が「株主としての権利の確保または行使に関する調査の目的」で株主名簿の閲覧・コピーを請求したと証明した場合には、会社は、株主による請求を拒絶することはできない、と考えられています。