コンプライアンスの社内教育や社内研修の方法としては、次のようなものがあります。

(1)教材のみを渡して、各自に自習させる

(2)セミナー形式の集合研修

(3)グループディスカッション方式の集合研修

(4)ビデオ閲覧形式のe-ラーニング

(5)一問一答形式のe-ラーニング

このうち、(1)の方法は、会社としては時間やコストを節約できる(各従業員が暇な時間を見つけて自習する)というメリットはある一方、反面、教材を渡された従業員が、教材を机の中やカバンの中にしまいっぱなしにして何もしないという可能性が高く、コンプライアンスの社内教育や社内研修の効果はもっとも低いというデメリットがあります。

(2)と(4)の方法は、セミナーに従業員を強制参加させたり、ビデオを強制的に閲覧させることができるので、少なくとも従業員の耳に何かしらコンプライアンスの社内教育が伝わるというメリットはある一方で、反面、従業員がセミナー中に寝てしまったり、セミナーやビデオの内容に集中していなければ効果が得られないというデメリットがあります。

ただし、この場合でも、セミナー講師がセミナー中に従業員に話しかけながら進めるなどの工夫をすることで、従業員の緊張感を維持させることができ、デメリットを解消することができます。

(3)の方法は、グループディスカッションに従業員を強制参加させることで、従業員にコンプライアンスについて考える機会を強制的に与えることができ、コンプライアンスの社内教育や社内研修として一定の効果が得られるというメリットがある一方で、反面、従業員を就業時間中にコンプライアンス教育・研修に参加させなければならず、またグループディスカッションの場を提供しなければならないということで、会社には一定の負担がかかるというデメリットがあります。

これに対して、(5)の方法は、従業員が一問一答で問題に答えなければならないので、従業員にコンプライアンスについて考える機会を強制的に与えることができ、コンプライアンスの社内教育や社内研修として一定の効果が得られるというメリットがあります。

また、e-ラーニングの場合には、従業員はインターネット上で一問一答を行うことができるので、会社は新しいシステムを導入する必要がなく、コストを節約することができます。

そのうえ、一問一答形式のe-ラーニングの場合には、従業員各自の一問一答の正解率や問題に取り組んだ実績などを会社がインターネット上の管理画面から把握することができるので、会社としては、結果的に、従業員一人一人をコンプライアンスの社内教育や社内研修に強制参加させ、グループディスカッションをさせたのと同じような効果を得ることができます。

こうしたことを考えると、会社としては、(5)の一問一答形式のe-ラーニングがもっとも効果が得られると考えることができます。

(5)の一問一答形式のe-ラーニングを採用したうえで(1)の教材を配布すれば、従業員は一問一答形式のe-ラーニングに取り組む際に必然的に教材にも目を通すことになるので、会社としては、コストを節約したまま、コンプライアンス教育・研修に一定の成果を得られます。

なお、一問一答形式のe-ラーニングを行う場合も、抽象論よりも具体的な事例をもとにした一問一答形式にすべきです。

「・・・・というケースに遭遇した場合、あなたはどのような行動をとるべきか。次の中からもっとも適切なものを選べ」という形式にすれば、従業員は、問題を解きながら、具体的な事例とともにコンプライアンス上とるべき行動を学ぶことができるので、コンプライアンスの社内教育・社内研修としての効果は高いものになるでしょう。