取締役は、日常から会社の経営判断を行い、特に取締役会では取締役会決議という形で経営判断を行います。

この経営判断は、取締役が好き勝手に行ってよいわけではなく、一定のルールに基づいて行わなければならない、とされています。

このルールのことを「経営判断の原則」と呼びます。

この「経営判断の原則」に違反して経営判断を行った結果、会社に損害が発生した場合には、取締役は善管注意義務という義務違反を問われ、会社に対して損害賠償責任を負うことになってしまいます。

「経営判断の原則」の内容は、

(1)経営判断の前提となった事実の認識に不注意な誤りがないこと

(2)経営判断の過程・内容が著しく不合理でないこと

とされています。

まず、「経営判断の前提となった事実の認識に不注意な誤りがないこと」 とは、たとえば、会社が投資や融資の経営判断をするケースにおいては、投資や融資の回収可能性について、きちんと必要な資料を収集し、具体的な数字をもって投資や融資の回収可能性を確認・検討したかどうか、ということです。

また、「経営判断の過程・内容が著しく不合理でないこと」とは、投資や融資の回収可能性を数字で具体的に把握し、回収可能性がないような数字であるにもかかわらず、あえて投資や融資をしてしまうというという、経営判断のプロセスに飛躍したところがないかどうか、ということです。

万が一、取締役が株主代表訴訟で訴えられた場合には、取締役側は、「経営判断の前提となった事実の認識」を誤りなく行ったということ、「経営判断の過程・内容」が合理的であったということを、取締役会議事録や速記録、取締役会や経営会議で用いた会議資料などで証明していかなければなりません。