「危機管理広報の基本と実践」出版

前回から一夏超えての久しぶりの更新となりました。
前回のレビューが6月の投稿だったので、4か月ぶりです。

まずは4か月間で一番大きいできごととしては、9月に中央経済社から「危機管理広報の基本と実践」を出版することができました。
私の中心業務である企業危機管理のうち「広報」にだけ焦点を当てました。

不祥事後の記者会見での失敗、プレスリリースでの失敗など、「広報」をおろそかにして企業危機管理を失敗し「炎上」してしまうケースが相次いでいます。
そこで、これまでの危機管理に関する仕事でのノウハウをベースに、各企業にて知っておいて欲しい危機管理広報の基本的な考え方とノウハウを解説しました。

なぜ、弁護士が広報の本を書いたのか

本の中でも触れましたが、なぜ、弁護士が危機管理「広報」の本を書くのか、と思われるかもしれません。

理由を一言で言えば、危機管理時の「広報」、これは、取締役の善管注意義務に含まれるからです。

取締役は、企業価値を高め株価を上げる、売上を上げる、利益を上げることが、「善管注意義務」として求められています。
そのために、取締役は、不祥事を起こさないように予防すること、不祥事が起きてしまったときには最少限度に食い止めることが求められます。

例えば、食品メーカーが異物混入事件を起こしてしまったときに、会社に与える損害を最少限度に食い止める。
そのために、異物が混入していたことについて謝罪し、同時に、社会に「広報」し、異物混入について注意喚起する。

顧客の個人情報を漏えいしてしまったときに、顧客離れを食い止め売上の低下を予防し、かつ、漏えいの被害者から訴訟等を起こされて会社が損害を賠償しないようにする。
そのために、情報漏えいした事故の内容について情報開示し、顧客からの信頼を取り戻すための「広報」をする。

このように、危機管理「広報」は、取締役の善管注意義務に含まれます。
どこまで広報をすれば、善管注意義務を果たしたことになるのか。
どのような広報をすれば、善管注意義務を果たしたことになるのか。
これ以上は広報を求められても回答する法的義務はない。でも、社会的責任の観点からは広報した方がよい。
これらの判断はいずれも、法律問題です。

そこで、弁護士の立場から「危機管理広報」にフォーカスした書籍を出版しました。

広報畑出身の危機管理広報のスペシャリストはたくさんいるかもしれません。
でも、弁護士の立場からのスペシャリストは、私が師事した中島茂弁護士しか知りません。

弁護士の立場からの「危機管理広報」が、広報畑出身のスペシャリストがいう「危機管理広報」とどこが違うのか、読み比べてみてもおもしろいかもしれません。

「月刊広報会議」での連載「リスク広報最前線」もスタート

「危機管理広報の基本と実践」の出版と奇しくも同じタイミングで、「月刊広報会議」の2015年9月号から、「リスク広報最前線」と題した危機管理広報についての記事を連載しています。
月刊広報会議での連載は、毎月1回、その月にあった不祥事に関わる広報について、弁護士の目から見て、危機管理広報として良かったところ、悪かったところを解説しています。

連載開始から、これまで3回記事を書きました。

1回目(2015年9月号)は、トヨタ自動車役員の薬物輸入事件。
2回目(2015年10月号)は、東芝の会計問題。
3回目(2015年11月号)は、オリンピックエンブレム問題。

今後も、トピックなテーマを取りあげて、弁護士の目線で解説していきます。