企業危機管理の転換期が到来しているのではないか?という疑問

昨日の「2015年、新春のごあいさつ」の記事で、企業は、TwitterなどのSNSによって社会・消費者の不安・不満が増幅することを視野に入れて積極的な情報公開をすることが肝要であることについて触れました。
今日は、昨日の記事を書くことになった考え方の根っこの部分について書きます。

それは、昔ながらの危機管理の方法論だけでは通用しない時代になってきたのではないか? ということです。

前々からニュースを見ていて、昔ながらの危機管理の方法としては間違っていないはずなのに、なぜうまくいかないのだろう、と疑問を感じることがありました。
その疑問が、2014年年末に発生したペヤング異物混入事件、2015年に入ってから発生しているマクドナルド異物混入事件、不二家ケーキかび事件を見ていて、ほぼ確信に変わりました。

危機管理の王道的手法だけでは通用しなくなっているケースがある

昔ながらの危機管理の方法といえば、例えば、反社会的勢力や不当なクレーマーからの要求には毅然と対応する、社長を出せと言われても応じてはいけない(担当者が責任者である)などが有名です。
もちろん、これらの方法は、今でも間違っていません。
基本的には、この王道パターンで対応すべき、と考えています。

しかし、今は情報社会です。
「危機管理対応」「クレーマー対応」「反社会的勢力対応」などのマニュアルは、インターネット上で簡単に見つけることができます。
そのため、会社に攻め込む反社会的勢力や不当なクレーマーはもちろんのこと、まっとうなお客さんも、クレームを言う前に、会社がどう回答してくるかを調べ、情報として知っています。
そうなると、会社が昔ながらの危機管理の方法で対応しても、会社にクレームを付ける側は、その一つ先まで考えてクレームを付けてきます。
将棋に例えれば、先の先まで読みながらクレームを付けている、ということです。

また、昨日書いたように、TwitterなどのSNSが利用しやすくなったので、会社にクレームを付けるのと同時並行して、写真をTwitterやInstagramにアップして、インターネットを通じて世の中に情報を知らしめて戦うという人たちも増えています。
そのため、会社は、クレームを付けてきた相手=1個人だけを相手に危機管理の方法をして、クレームを言い出した人を納得させること、あるいは不当な要求を黙らせることに成功しても、インターネットを通じて情報を知って騒いでいる社会・消費者の声を抑えることができなければ危機管理の手法としては片手落ちということになっています。

ブログや2ちゃんねるなどの掲示板全盛期の頃と、SNS全盛期の今では、企業にとってのリスクは桁違い

SNSが登場する以前のブログや2ちゃんねるなどの掲示板が全盛の2000年代は、クレームを付けてきた相手が「ネットに書くぞ」と言っていても、企業側は「書いて欲しくはありませんが、止めることはできないので、書かれても仕方がありません」で対応することでも十分な対応でした。
これは、例え、ブログや2ちゃんねるに不平・不満を書かれても、2ちゃんねるやブログの場合には自分から情報を見に行こうとしなければ、投稿された内容を目にすることはありませんでした。
よほど盛り上がらない限り、投稿された内容が多くの人の目に触れることはなかったからです。
わかりやすく言えば、企業にとってはリスクがそれほど大きくなかったからです。

しかし、スマートフォンの普及率が高く、Twitter、Instagram、FacebookなどのSNSにが全盛期を迎えている2010年代の今は、クレームを言っている個人が簡単にスマートフォンで写真を撮り、それをSNSにアップし、かつ、SNSを通じてリツイートやシェアといった形で情報が拡散することが容易になりました。

情報の拡散が容易ということはどういうことかというと・・・・

SNSの利用者は、自らが積極的に情報をとりに行こうとせず、情報を受け身で待っているだけでも、自分が利用しているSNSのタイムライン、フィードに情報が流れてくる。
さらに、情報を流す人は一人とは限らない。
自分がTwitterでフォローしている人の中の複数、Facebookの友達になっている人の中の複数が情報を流すかもしれない。
SNS利用者は、受け身でも、企業の不祥事情報、例えば、食品の異物混入の情報を見逃すことなく、受けとることができる。
しかも、その受けとった情報を、リツイートやシェアの形で、バケツリレーの如く、自分のフォロワーに容易に知らせることができる。

こうした手順で情報がどんどん拡散していくのです。
この結果、不安や不満を持つ社会・消費者が声を出すようになるので、企業はそこにも対応しなければならない。
つまり、SNSの存在が、企業が危機管理対応をしていく中で、リスクの要素として大きなものになっているのです。

危機管理の王道的手法に、プラスアルファが必要になっている

企業は、今までの王道的な危機管理の方法論をリニューアルしていく必要があります。

「王道的な危機管理の対応だと、次は相手はこう出てくる。これにはどう対応したらいいか」
「クレームを付けてきた相手に対応するだけではなく、社会・消費者の声を抑えるためにはどうしたらいいか」

ここまで念頭に置く必要において対処しなければならないのです。

前者は、シミュレーションをどれだけできるか、ということでもあります。
従来のマニュアルをベースに、もう一歩先、二歩先まで考える。
頭を使えばできるはずです。

後者は、危機管理広報の体制を整え、何を広報していくかを考える、ということです。

詳細は、また別の機会に説明したいと思います。