今日は、雑感です。
8月30日から9月1日までの3日間、日本経済新聞の朝刊に「リスク~企業の処方箋~」という特集連載記事が掲載されていました。
大手企業が危機管理のために何をしているか。これを、次の3つのテーマで紹介していました。
- 情報漏えい(8月30日)
- 失敗から学ぶ(8月31日)=原因を踏まえた危機管理
- トップによる把握(9月1日)=危機管理体制
率直に言って、非常によい特集でした。
私が常日頃から企業危機管理として、公開セミナーや社内役員研修・従業員研修でお話ししている内容や、事務所ブログに書いていることと、同じことが見事にわかりやすく書かれていました。
しかも、日経の記者らしく、大企業ではどのような取り組みをしているかが具体的に事例が紹介されていました。
ただ、気になるのは、「じゃ、この危機管理に弁護士がどう関わっているか。どう相談すれば良いのか」の視点があまりなかったこと。
たとえば、個人情報漏えいの件では、最後は、保険会社の話に行ってしまいました。
これでは、「個人情報漏えいは、結局、最後は賠償金の話でしょ」になってしまって、漏えい防止に対する問題意識は高まらない。
誰に、どう相談すれば良いのかがわからなければ、企業は関心持っても先に進めない。
ここが、今の企業危機管理の超えられない意識の壁なのかな、と思います。
問題意識がある企業は、誰に相談したらいいかわからない。
迷った末、結局、資格のない「危機管理コンサルタント」のところに相談に行く。
「危機管理コンサルタント」は法律的なことも含めたアドバイスをする。
経営面だけならともかく、「損害賠償になりますよ」「会社法の内部統制が不十分ですよ」といった法律的なアドバイスをしたら、その時点で弁護士法違反(非弁行為)。
しかし、これが堂々と行われている矛盾。
もしくは、顧問弁護士に相談に行く。
ある弁護士からは「事件になってからいらっしゃい」と言われる。
もしくは「~してはダメ」とばかり、言われる。
結局、会社からしてみれば「何もアドバイスしてくれないなら、コンサルタントのところに行くか」となる。
これでは、企業危機管理は根付かない。
もしくは、一部の問題意識の高い企業だけが、内輪で危機管理ができるようになって終わる。
いつまでも、企業危機管理を取り巻く社会環境は不十分なままで終わる。
もちろん、企業危機管理がわかっている弁護士が少なすぎるのが原因でもあります。
危機管理と弁護士がイコールで繋がってませんもんね。
だから、俺、がんばろっと。