お盆休みが明けてから、公開セミナーや社内研修の講師としての仕事が続いています。
毎日のように、東へ、西へと移動しています。

満足してもらうセミナー、社内研修のための準備

「せっかく講師として時間とお金を使って受講していただくなら、受講していただいた人に満足してもらいたい」

そのために、徹底した予習をしたうえで望んでいます。
セミナー中に間を取って「あ〜」とか「う〜」とか言うのも嫌いなので(自分が受講していたとき、そういう無駄な間が嫌いだった)、ひたすら話し続けられるように、予習には資料作成の3倍以上の時間を費やしています。

また、セミナー後の「話し方」「内容」などへの受講者アンケートの結果も気にしています。
その結果を見る限り、今のところ、セミナー講師としての仕事を始めてから9割以上の方に満足していただいているようです。ある意味、目的は達しているし、独り善がりにはなっていないようだ、と安堵しています。(評価が低いと、次回セミナー講師として呼ばれることがなくなっちゃいますので・・)

セミナー、研修時のポイント

そこで、今回は趣向を変えて、私がセミナーや研修を行う上で心がけているポイントについてお話ししたいと思います。

私が考えているたった一つのポイントは「具体的な事例を中心に話し、抽象論はなるべく避ける」です。

  • 過去の新聞事例、裁判事例を数多く紹介する。
  • 紹介するだけでなく、事例を詳細に把握することで、どこが問題解決のポイントだったのかを分析する。
  • そのうえで、どのように対処したらよかったかという解決策を提案する。
  • 提案の根拠について、法的な側面からと、危機管理的側面からの両方からアプローチして説明する。

簡単にまとめてしまえば、これがすべてです。

簡単そうに見えるかもしれませんが、案外、これが難しいようです。
私の場合、幸いにも、高校生の頃くらいから、事例を分析して対策を考えるというのが得意だったこともあって、この作業が不得手ではありません。

「高校生のときに、事例分析して対策って何していたの?」と思われるかもしれません。
一番身近なのは、学校のテストです。
校内のテストで楽をしたかったので、教科書を勉強するよりも先に、学校のテストの特徴を掴む。
授業中に先生がこういう風に指摘した場所が出る、必ずこの分野や教科書のこの欄に書かれている場所から出るなど。
こんなことを自然としていて、それが楽しかったのです。

これは過去のエピソードですが、これが、企業危機管理の世界では役に立つのです。

事例分析こそが最高の企業危機管理を導く

たとえば、先月解説したベネッセホールディングスでの個人情報漏えい事件では、漏えいの究極の原因は、なんでしょうか?

表向きは、スマートフォンをパソコンに接続するとセキュリティが破れて、個人情報をスマートフォンにダウンロードできるというシステム上の問題であるかのように報じられています。
もちろん、それも原因であることに間違いはありません。
しかし、それは個人情報を漏えいしよう(持ち出そう)とする者の手段にしかすぎません。

実際には、個人情報を売却したいほど借金でお金に困っている人物に、個人情報をアクセスできる権限をあたえてしまったことが究極の原因なのです。
そもそも、そういう人物にアクセス権限を与えていなければ、個人情報を漏えいしようという動機が芽生えることはなく、あの事件は起きなかったのです。

あの事件をきっかけに、企業危機管理を行い、個人情報を含む情報漏えいを予防しようというのであれば、個人情報など会社の重要な情報にアクセスできる権限を有する者が日頃からお金に困っている風ではないか、そういうグチをこぼしているのを聞いたことがないかなどを気にする。もし、そういう素振りの者がいれば、重要な情報にはアクセスさせる権限を与えない。
これが本当の企業危機管理ということです。
(詳しくは、個人情報漏えい対策は、セキュリティを強化するだけでは三流 のエントリーに)

生の事実は、頭で考える観念的な企業危機管理よりも、よっぽど具体的な対策を考えるヒントを与えてくれます。
事例を紹介したほうが、身近なので、受講者にもわかりやすいという利点もあります。

だからこそ、私は、具体的な事例の紹介や分析を中心にしたセミナーや社内研修を行っています(その代わり、法改正がどーのこーのという、法律論で終始するセミナーは弁護士の割に不得手です)。