昨日、企業研究会で「危機管理広報」をテーマにした4時間のセミナーを行いました。
企業で不祥事が発生した場合に広報はどう対応するべきかをテーマにしたセミナーで、早6年、年に2〜3回行っています。

特に、この半年は企業不祥事に事欠かず、また多くの記者会見、プレスリリース、DM、Web開示とバリエーションに跳んだ広報の手段を見ることができました。そうした直近の事例などを踏まえつつ、不祥事が発生した場合に広報はどう動くかというノウハウをお話ししました。

毎回、セミナー時に、広報担当者の方が気にされていて、私が説明して好評なのが、公表の要否の判断基準です。

個人情報を漏えいしてしまった、賞味期限切れの食品を販売してしまったなどの事例で、記者会見まで必要なのか、それともWeb開示だけで足りるのか、それともDMが必要なのか、など、どのように考えて判断すればよいか、という考え方というか、目安です。

私は、過去の事例や最近の動向を見ながら、2つの要素が判断基準である、と考えています。
1つは、危機の重大性。もう1つは、危機の拡大可能性。この2つです。

危機の重大性というのは、たとえば食中毒で死者が1人発生したというような、人の生死に関わるようなことを意味します。また、個人情報の漏えいであれば、氏名、住所だけでなく、金融機関の口座番号など、人の財産に関わるような情報が漏えいしたときも危機が重大であると整理しています。

危機の拡大可能性というのは、不祥事の被害や迷惑を受ける人の数が多数であると見込まれる場合を意味します。個人情報を漏えいしたけれど、漏えいした件数は10件だけであるというときには、拡大可能性はありません。他方で、漏えいした件数が最大で1000件、ただし増減の可能性があるというときには、拡大可能性はあると考えています。

この危機の重大性、危機の拡大可能性の2つを併せて、広報手段を選択すればよろしい。

危機が重大で、かつ、拡大可能性があるということであれば、多くの人に危機の存在と内容を知ってもらう必要がある。しかも、直ちに知ってもらう必要がある。
そのため、記者会見をはじめ、あらゆる広報手段を講じる必要がある。

危機が重大だけれども、拡大可能性はないということであれば、個別の被害者だけでの対応で足りる可能性がある。
ただし、死者が出たような場合には、企業として責任と反省の意思を明らかにするために貴社会見を行う必要がある。

危機は重大ではないけれど、拡大可能性はあるということであれば、多くの人に危機の存在と内容を知ってもらう必要がある。ただし、危機が重大ではないので、そこまで迅速性は要求されない。
そこで、Web開示と新聞社告、プレスリリースだけで済むかもしれない。

危機の重大性はなく、拡大可能性もないというのであれば、公表する必要性はない。

この考え方がすべての不祥事に当てはまるわけではありませんが、8割方はこの判断基準で考えてよろしいのではないかと思います。

残りの2割はどうするか。

そこは経験が物を言いますので、ご相談を。